2013年10月10日木曜日

「先生」と呼ぶことが、相手に敬意を表することになるのか

製薬会社主催の講演会の案内が、新聞に掲載されることがよくあります。このような講演会に出席する医師には、「先生」という敬称がついていて、患者の代表者は「◯◯さん」と書いてあります。医師であろうが患者代表であろうが、講演会の出席者という意味では同じです。医師には「先生」という敬称をつけ、それ以外の人は「◯◯さん」でいいというのは差別です。

製薬会社としては敬意を表して医師に「先生」という敬称を付けるのでしょうが、このことが本当に医師に敬意を表することになるのでしょうか。私だったら自分だけ「先生」と表記され、他の人に「◯◯さん」と書いてあったら、心地悪いと感じると思います。立派な医師なら、このような場合、「私も他の方と同じで結構です」と言うべきです。

相手に敬意を表するために、「先生」と呼ぶことが、時に、相手を不快な気持ちにさせてしまうことにもなりかねません。相手を「先生」と呼ぶことによって、「あなたが上で、私は下です」と自ら上下関係を作り出しているようなものです。なぜあえて自分を下に置くようなことをする必要があるのですか。自分に自信を持ち,対等な立場でいいと思います。

製薬会社から見れば,医師はお客さんとなるのでしょうが、どんなに優秀な医師でも薬剤がなければ、仕事になりません。製薬会社の人も「医療に貢献しているんだ」と自信を持ち,医師を「先生」と呼ぶのは止めるべきです。

「先生」と呼ばれて,「自分は偉いんだ」と勘違いして、人間として大切な謙虚さや常識を見失っている人が数多くいます。患者にきちんと挨拶できない医師や体罰を行う教師がいい例です。「先生」と呼ばれて、損をすることはあっても、得をすることはありません。敬意を表するという意味で相手を「先生」と呼んでも、決して相手のためにはならないのです。

私は英語講師ですが、「先生」と呼ばれたくありませんし、社会的にどんなに地位の高い人に会ったとしても、相手を「先生」と呼ぶことはありません。「実るほど頭を垂れる稲穂かな」社会的に地位の高い人であればあるほど、「先生」と呼ばれず、謙虚でいるべきです。「先生」と呼ばれて喜んでいるようでは、人間失格です。



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